病婦のdiary

気づいた時に、できる時に

香港デモを伝えた中国人記者を拘束と報道。問題しされた記者の文章は "不可視化"というやり方で「検閲」にあっていた。

www.huffingtonpost.jp

 

黄さんは、今回のデモを機に、香港の人たちの政治への問題意識が再燃したと感じたようだ。デモを取材した感想をこのように綴った。

「雨傘運動で、香港の人たちは政治へのエネルギーを使い切り、後に残ったのは冷めた感情だけだと聞いた。絶望し香港を離れた人もいたし、戻ってきたとしても、もう政治には関わらないと心に誓っている。(略)だが、6月9日の人の海を見て、なぜ香港の人たちが政治に冷めていると言えるのか?少なくともこの日この夜、私は無数の何をも恐れぬ湧き上がる魂を見た」

黄さんは、この日香港で撮った写真や動画を中国のSNSでも発信したという。しかし、誰からも「いいね」がつかない。ここで私は検閲にあっていたのだと気づく。

「幸福な監視国家・中国」(梶谷懐・高口康太/NHK出版)によると、 中国ではSNS上で行われる検閲手法の一つに「不可視化」というやり方がある。本人からすると正常に投稿できたつもりでも、実はフォロワーたちの画面にはその投稿が表示されない、というものだ。アカウントが消されれば「検閲にあった!」とすぐにわかるが、「不可視化」では自分が標的になったことがなかなか分からないのも特徴だ。

黄さんは中国の友人について香港で起きていることが全く知らされていないと指摘。デモ隊を催涙ガスなどで鎮圧する警官隊に批判的な立場を取っている

「感情がジェットコースターのように激しく揺れたのも30年間の人生で初めてだ。前半は香港の人たちの美しさに感動し、後半は香港政府の無恥に憤っている。警察はどんどん粗暴になり、香港は真っ二つに割かれたかのようで、どんどん中国大陸の現状に似てきている」

香港のデモに関するニュースは、中国本土では共産党の検閲を受けたものを除いて報道することができない。
黄さんはこうした現状についても「無知と恐怖が作り上げられる」などと批判を強め、文章を終えている。

「この目で見て経験したものは、無知を装っていられないし、記録することを放棄してはいけない。暗闇の中で残された一筋の真実と光は、絶対に手放してはならない」

黄さんは文章の発表から2日後の6月12日、コメント欄で、この文章について警察に話を聞かれたことを明かしている。黄さんは「公権力が監視を受けなくなれば、好き放題に人権を侵害できるようになるだろう」と警鐘を鳴らしている。

香港デモ